イマジン・ヨコハマとは何だったのか―企画者の視点で考える―

イマジン・ヨコハマ研究所の活動の柱の1つ、
「分科会A―イマジン・ヨコハマとは何だったのか―企画者の視点で考える―」
を、ついに開催しました★


NEXT!イマジン・ヨコハマの活動でもすっかりお馴染みとなった、
米国国務省日本語研修所さんに、場所をご提供いただきました。
(研修所さん、どうもありがとうございます!)


講師の方の提案で、講師対聴講者というのではなく、お互いに話をしながら進め
ていきましょう、ということに。
まずは、ゆるゆると、チェックインからスタート。


続いて、「レゴ・ワーク」。
レゴを使ったワークショップの手法だそうです。
まずは、できるだけ高く積む。
次に、自分が設計者に聞きたい質問を、レゴで形にしてみる。

レゴで形になった質問は、次のとおり。
○イマジン・ヨコハマが始まる前のコンセプトはなんでしたか?
○できたこと、できなかったことは何ですか?それを踏まえて今後どうしていき
たいですか?
○みんなの力をあわせると色々なことができる。イマジン・ヨコハマとして今後
いかに横浜の良さを伝えたりしていくのか?
○様々な人がフラットで水平な対話を行うために、大切にしていることは何か?
○将来、ヒルサイドの魅力も横浜市全体の魅力としてアピールするのか?
○どうすれば若い世代がこのような対話の場に参加するか?
○市民参加型で都市ブランドを作る手法としてこのような手法をとった理由を知
りたい。
○進めていく上で、何とバランスを取りながら進めたのか。
○想定外のものが入ってくるバランスをどう取ってきたのか。


質問項目が見えたところで、話を深めていきます。

<イマジン・ヨコハマで大切にしてきたこと>
○大切にしてきたことは、「関係の質の向上」。
 組織では、良い結果を出すために、組織の「構成員の行動の質」が重要。
 それを高めるために、「構成員の思考の質」を高める。
 そのためには、構成員同士の関係の質を高めることが大切。
 例えば、上司と部下の関係が悪いと、素晴らしい発想やマニュアルも生きてこない。
 逆に、関係が良いと、良い雰囲気が生まれ、実行力も高まっていく。
 自治体においても同様。
 立場・世代を超えた多様な人が集まり、関係の質を高めていくことを、とても大切にした。


<市民に委ねることへの不安?>
Q.イマジン・ヨコハマでは、市民に委ねている部分が多い。
 素人に任せることのあてどなさ、何が立ち上がってくるかわからないことへの
不安はないのか?
 市民の意見が集まり過ぎ、拡散することへの恐れはなかったのか?
○全くネガティブな横浜になってしまったらどうしよう、という不安はないこと
もなかった。
○落とし所を決めてしまっては、ワークショップを行う意味はない。
 対話のデザインとスケジュールを大切にしたが、それはネガティブなことを出
させないためではない。
 ネガティブなことも含めて、本当のことを話せるようにするため。
○市民意見の集約については、今回は事務局・市側に委ねてもらうという方式を
とった。


<対話のデザイン>
○ネガティブな話をさせないということが、対話のデザインではない。
 「生成的な対話の状態」を作ること。それが対話のデザイン。
 対話の4段階として、
 1.儀礼的会話=牽制し合って本音を出し合わない。何も生まれない状態。
 2.論争=自分の主張だけをぶつけ合う。1か0かの状態。
 3.内省的ダイアローグ=自分の価値観や想いに自覚的になりながら話す。
 4.生成的ダイアローグ=相手の価値観の違い、立場の違いなどを認めた上で、創発的に話す。ネガティブなことも宝。
 がある。
 この、「生成的ダイアローグ」の状態をいかにつくるかが、「対話のデザイン」。


<“市民参加型”への考察>
有識者会議というものがあった。
 有識者会議がある、と聞くと、市民側としては、落とし所が最初からあるのではないか、という気分になる。
 一方で、有識者会議の必要性が確かにあることも、理解できる。
 有識者会議と市民参加のバランスをどうとるのか、これからの課題。
 有識者の中には、ボランティアの中に入り込み、自らボランティアとして活動するなかで、自分の「知識」を伝えていた人もいた。
 イマジン・ヨコハマの面白いところ。
有識者会議や市民参加のあり方を考えていくと、民主主義とは何か?というテーマに行きつく。
 数の論理で多数決で意思決定しない、少数派の声をききながら、集団としての意思決定をしていく真の民主主義についての議論をしているように思う。
○市民とか、ボランティアという言葉を変えたい。ボランティアは精神の問題。
自発的に生まれるもの。それこそが創発の原点。
○市民参加は、参加していない人から見ると成果・効果が理解し難い。税金の無駄使いといわれてしまう。参加していない人にもわかるように言語化して、伝えていく必要がある。
○客観的な目で見ると、市民参加といわれると漠然としている。市が関わっていると、結果が出る、何かが必ず生まれるという安心感がある。
○ボランティア活動をするとき、「市が関わっている」というと、どんな相手でも話だけは聞いてくれた。会社を早く帰ることもできた。


イマジン・ヨコハマがはじまった当初、ボランティア、事務局、企画者など、様々な立場で関わっていた人が、あらためて一人の個人として、当時を振り返り、対等に意見を交わし合い、次のステップへ活かせることを模索する。


熱のこもった、素晴らしい時間となりました。
白熱する議論は遅くまで続き、今後も引き続き、研究を深めることとなりました。


■日時:平成22年9月29日(水)19時00分〜22時15分
■場所:米国国務省日本語研修所
■内容:分科会Bの企画設計
■参加者:13名