概要

■イマジン・ヨコハマとは〜市民参加型都市ブランド共創プロジェクト〜

2009年、開港150周年の記念すべき年に、横浜では、市民同士が語り合い、横浜の未来像を描く活動が行われました。それが、「市民参加型都市ブランド共創プロジェクト“イマジン・ヨコハマ”」です。
参加した市民ボランティアは874名。大規模な語り合いや、ボランティア自身が開催したワークショップを通し、たくさんの市民の未来の横浜への想いを集めてきました。
集めた市民の想いを基に、横浜の未来像を表す「ステートメント」を描き、ステートメントの理念を端的に表すものとして、「OPEN YOKOHAMA」という「スローガン」とこの「ロゴマーク」が生まれました。

「市民の想いの詰まったこの「未来像」は、開港200周年に向けて市民のみなさまと共有し、さまざまな場面でお使いいただくとともに、国内外への横浜のイメージ発信に活用していきます」、と謳われています。

■イマジン・ヨコハマの目的と背景

【目的】

  • 市民の横浜への愛着・誇りを高め、地域活動につなげること
  • 対外的発信力を強化し、横浜市のブランドイメージを高め、観光誘客・企業誘致等につなげること

【背景】
そもそも、このような事業をスタートした背景は、大きく4つあります。

  1. 人口動態で2005年以降、東京都・神奈川県他市町村との転出入者数で転出超過(図1)
  2. 横浜市民の定住意向に減少傾向が見られる(図2)
  3. 世界の主要都市と比べ、国際的知名度は依然として低い状態にある
  4. 横浜は郊外区の発展などに伴い「横浜=港」というブランドイメージで包含しきれない多様な魅力を獲得しており、367万市民の一体感醸成につながる新たなブランドイメージが求められていること。

・・・ちょっとびっくりですが横浜に住みたい人が減っていることや、海外及び市民へのイメージ発信が必要になっているのです。
このような中で、横浜では、市民参加型の都市ブランド構築事業がスタートしました。

海外での都市ブランドの事例

このような都市ブランドの先行事例としては、
アムステルダム(オランダ)での、“I amsterdam”
バルセロナ(スペイン)での、“BARCELONA BATEGA!”〜あなた(=市民)がドキドキすると、バルセロナもドキドキする。
や、“b+b+b=B”〜b(=市民)が集まってB(バルセロナ)になる。
などがあります。

<参考>
シビックプライド研究会編著『シビックプライド;都市のコミュニケーションをデザインする』


<参考>横浜市ホームページ 都市経営・行政運営調整委員会資料(平成22年3月16日)
http://www.city.yokohama.jp/me/sikai/pdf/siryo/j1_20100316_ts_42.pdf
http://www.city.yokohama.jp/me/sikai/katsudogaiyo_h21-j-1.html

■イマジン・ヨコハマの特徴

  • 市民参加型のブランドづくり
  • 未来志向のブランドづくり

例えば、他の都市との比較の中でブランドをつくるのではなく、市民の「横浜への想い」を引き出し、それを集約してブランドにすることが意図されています。
まちの魅力はまちを構成する市民一人ひとりにある、という考え方もあります。イマジン・ヨコハマでは、ブランド構築を通じて、市民自身が改めて横浜の魅力や将来を考えることで、横浜への愛着が深まったり、横浜を愛する行動が生まれたり、市民の一体感がより高まることも期待されています。

■イマジン・ヨコハマのプロセス

2008年12月。「横浜の未来を想像しよう」という掛け声で、「市民の未来の横浜への想い」を集めるボランティア募集をすることからスタート
2009年3月には、キックオフワークショップ(200人ワールドカフェ)
2009年5月には、1000人ワールドカフェを実施し、大規模な語り合いが展開されました。
研修を受けたボランティアを中心に、「出張ワークショップ」「イメージコレクターズ」「つながりインタビュー」等の様々なアクティビティが展開され、たくさんの市民の「未来の横浜への想い」を集めました。
2009年1月・3月及び2010年1月には、有識者会議も行われました。
集まった市民の想いを基に、
2009年12月には「集約ワークショップ」を開催。
未来の横浜の強み・特徴、社会的価値などのブランド価値がまとめられました。
これを基にステートメントが描かれ、スローガン、ロゴマークの案が作成されました。
2009年4月8日〜5月20日まで、ロゴマーク3案での市民投票が行われ、風車の羽をモチーフにしたマークが最多得票で選ばれました
2010年6月の開港記念式典で、未来の横浜を表すステートメント・スローガン・ロゴマークがお披露目されました。

※詳しくは、こちら(横浜市ホームページ)

■アウトプット

ボランティアが中心となって集めた「未来の横浜への想い」は、横浜の未来像として「ステートメント」に描かれました。そしてその未来像を短い言葉や図柄で表すものとして、OPEN YOKOHAMAという「スローガン」と風車の羽をモチーフとしたロゴマークが生まれました。


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■研究アーカイブ <目次>
【テーマ1】イマジン・ヨコハマとはなんだったのか

  1. 概要
  2. 設計
  3. 生まれたもの